鉄分不足で頭痛や集中力低下

http://www.medical-tribune.co.jp/mtbackno/3001/01hp/M3001032.htm

〔独ミュンヘン〕 ルートヴィヒ・マキシミリアン大学付属グロースハーデルン病院第三内科のU. Jehn教授らは,『Aktuelle Neurologie』(23:97-100)で,「易興奮性,集中力の低下,しばしば起こる頭痛などは,鉄欠乏症の最初の非特異的症状でもある」と説明。「慢性鉄欠乏性貧血は,神経学的障害や精神障害として現れることがあるが,このことは必ずしも知られていない」と報告した。
 酸素の運搬,ヘモグロビンの合成以外にも,鉄は,DNAや神経伝達物質の合成や解体に関与しており,鉄が欠乏すると錐体外路系に変化が生じる。例えば,ドパミンD2受容体が減少し,アポモルヒネに対する反応が悪化。また,過剰な刺激を食い止め,適度な反応を生み出すホメオスターシスにおいて重要な役割を担っているセロトニンの吸収能も低下する。さらに,鉄は抑制的神経伝達物質であるGABA(γ-アミノ酪酸)の調節にも重要な役割を果たしている。
 したがって,鉄分補充によって倦怠感や虚弱,集中力低下といった症状が消失してもなんら不思議ではない。  同様に末梢神経障害が鉄欠乏に基づく場合もある。レストレスレッグ患者の少なくとも25%では,血中鉄濃度の低下が認められるが,鉄分を補充すると症状は消失する。治療選択はFe-・化合物100mg/日の経口投与である。粘膜が正常であれば必要量が吸収されるため,過剰投与の心配は無用。反対に補充状態が数か月続くこともある。