NIKKEI いきいき健康
摂食障害の人は、同性の目を気にしている

 ところが、現実には親の期待通りに物事が進行するわけではありません。勉強の壁にぶつかったり、友人関係や恋愛関係がうまくいかなかったりするものです。すると、親の期待を背景にして自分の思い描く世界から、一転してなんの取り柄もない自分になってしまいます。プライドだけはすごく高いので、現実から撤退してプライドを守るしかありません。ニートになっている人たちは、このような人たちです。
 女性にしばしばみられる摂食障害の人たちも、自己愛性のパーソナリティ障害の構造を持っています。摂食障害は食欲の病気ではなく、「自分が他人からどう見られるか」を気にしすぎる自尊心の病気なのです。
 彼女たちが意識しているのは、男性の目ではなく、じつは女性の目です。相手より自分が痩せていると勝ったと思い、逆だと負けたと思う。誰でもやれそうでいて、じつはやれないのがダイエットです。自分にはなんの価値もないのではという疑念がもとになって、ライバルに勝つことでその不安を打ち消そうとしているわけです。